セミリタイア生活を始めたばかりの頃、
一番最初に感じた事は時間の長さだった。
1日の時間を持て余すという意味ではなく、
人生の長さが「予想以上に膨大なもの」ということに気づいた。
人生の長さが予想以上に膨大
それまではセミリタイアを実現するための条件達成にばかり関心が向いていて、
その先の人生の長さなどを本気で考える事はなかった。
アーリーリタイアを目指す場合は、
誰でも人生設計を考えるし、
普通の年金生活を目指している人たちよりも人生の長さについては深く考えていると思う。
私もそうだと思っていたのだが、
実際にセミリタイア生活を始めてみると、
「本当に、これでで大丈夫だろうか?」
という不安を感じ始めた。
登山の準備と似た感覚
うまく説明できないのだが、登山の準備とも似た感覚なのかもしれない。
自分なりに万全の準備をして、
下調べも入念に行ったとしても、
いざ出発した途端に思いつかなかったことが次々と頭に浮かんでくるようなイメージだ。
セミリタイアを始めてからは、
ちょっとした体調不良でも、
フルタイム勤務でいた時とは感じ方が違う。
それまでは「大丈夫だろう」と軽く考えることができたのに、後戻りが難しい状況になってしまうと、
同じ症状でも
「もしかすると、悪い病気かもしれない」
と不安になったりしてしまう。
不安はどんどん膨らむばかり
仕事のトラブルやミスでもそうで、「もしかすると、これが自分のビジネスの致命傷になるかもしれない」などと考えてしまうのだ。
お金だけで不安が解決できるわけではないが、お金がなければ小さな不安もどんどん膨らんでいく。
だからセミリタイアを始めたばかりの頃は、
何か不安なことがあると猛然と働き始める。
結果的にはそれが良い刺激となって、
ビジネスモデルはどんどん改良され、
労働時間も徐々に減らすことに成功した。
しかし、それらのモチベーションは不安に駆られてのものだった。
稼ぐだけではなく出費を減らす
お金を稼ぐこと頑張るだけではなく、
出費を減らすことも色々と考えた。
その結果が私なりのローコストライフ戦略なのだが、その中でも最も重要なポイントは
「どんな住居環境でも暮らせる」
「いつでも引っ越すことができる」
の2つだ。
生活費の中で住居費が占める割合は大きいし、毎月の固定的支出なので減らそうと思ってすぐ減らせるわけではない。
住居費が負担になって引っ越しを考えても、
荷物の多さを考えると、
「どうしよう、どうしよう」
と悩むばかりで、なかなか解決しない。
コンドミニアムやタウンハウスを賃貸で契約すれば自分の好みの部屋や仕事場が作れるし、いろいろな生活用品や家具を自分好みで揃えることができる。
ただ、その分だけ移動のフットワークが重くなる。
住居費が足かせになる場合も
長期滞在の場合はビザを取るために居所を定めなくてはならない、フットワークが重くなると、何かの原因で家賃が負担になった場合面倒なことになる。
だから1カ所に住居を定めても、
荷物はできるだけ少なくして、
いつでも引っ越しができる位の感覚が良い。
幸いなことに、東南アジアの外国人向けコンドミニアムは殆どが家具付きなので、
自分で揃える生活用品は、
「引っ越しの場合は誰かに譲る」
「価値のないものは思い切って捨てる」
くらいの感覚で用意した方が良いかもしれない。
いま現在の私が抱えている生活用品は、
80リットルのキャリーに詰め込める位の分量まで減らすことができた。
この中には、何かの会議に呼ばれたりした時のための上着やスーツ、履き替え用の靴、
机の上に置く仕事用の電気スタンドや様々な文具などが詰まっている。
それでもキャリーひとつに収まる。
引っ越しのたびに徹底的に要らないモノを省いていったので、ここまで絞ることができた。
私はミニマリストではないのだが、
こうやって持ち物を減らしていく作業は心が軽くなることを経験しているので、
今ではミニマリストの気持ちもよく理解できるようになった。