心理学が解き明かす影響力の秘密

少し前のブログでマーケティングのバイブル・影響力の武器について書いたが、
この本は行動心理学とか社会心理学と呼ばれる分野のものだが、
事例として紹介されている話が非常に面白い。

「ふとしたスキにつけこまれ、あれよあれよという間に、欲しくないものを買わされてしまった」とか、
「引っかかるはずない怪しい儲け話に乗せられてしまった」などという話をよく聞くが、
この本では訪問販売や怪しげな宗教の寄付などを科学的に分析し、人がどのような心理的メカニズムで動かされるのかを解明している。

私の想像では、
振り込め詐欺や特殊詐欺の集団は
絶対にこの本を読んでいると思う。

ただ、かなり細かな文字で500ページ以上あるので、衝動買いはしない方が良い。

この本の中で、人間の意思決定に影響与える6つの要素を紹介しているので、そのうちのいくつかを紹介しよう。

行動心理学の魅力とは 【1】返報性の原理

これは、
人間は相手に何かをしてもらった場合に、
無意識に相手にお返しをしてしまうという心理だ。

そして「意外な何か」や「想定外の対応」をしてくれた人間に対しては好意を持ちやすく、
その人を信じこみやすくなるそうだ。

これは実際に私が経験した話だが、
例えばクライアントとのZOOM面談の時に
SEO対策について質問された。

返報性の原理の実践例

私は中小企業やクリニックのホームページを制作しているので、SEI対策については一通りの知識があるが、プロではない。

そこで私は、そのクライアントとZOOM面談をしているときに、
「ちょっと待っててくださいね」
「今ちょっと詳しい人に聞いてみますから」
と言って、iPadのZOOMをつなぎっぱなしにしたまま、スマホでSEO対策を外注しているコンサルタントにLINEで電話をした。

その電話の内容がZOOMのマイクを通じて相手にも聞こえたようで、
電話が終わったから「伊島さん、すぐ専門家と話ができてすごいですね」と言われた。

これは全く意図していたわけではなく、
返報性の原理を意識していたわけではない。

しかしそのクライアントとの信頼性が深まった事は間違いないので、
こういった「ちょっとしたパフォーマンス」が自然にできるようになると営業効率は非常に上がるだろう。

行動心理学の魅力とは 【2】コミットメントと一貫性

人間は「一貫性がある人間だと見られたい」という心理があり、特にそれが強く生みだされるのは話す・書くといった行動を伴って起こる場合なのだそうだ。

どういうことかというと、
例えば人前で「私は〇〇を行います」とか、
何かの文書に「〇〇を守っていきます」
などと書くことで、それらを守る確率が高まるらしい。

私はこれを見込み客との次回アポイントを取る時に使っている。

例えば、電話相談やZOOM面談を行った時、「今日は時間が来ましたので、続きは次回お話ししましょう」「いつものGoogleカレンダーの予約ページから都合の良い時間を予約しておいてください」と伝えるのだ。

こちらから「何月何日はいかがですか?」とか、「いつ頃がご都合が良いですか?」と聞くのではなく、
相手にGoogleカレンダーの予約スケジュールから時間を選んでもらうのだ。

この行為が「話す・書くといった行動を伴う」ことになり、アポイントをすっぽかす確率も減るし、その後の成約率も高くなる。

心理学を活用した営業戦略

集客やコンサルティングのプロセスは、
できるだけ自動化・ IT化を進めるべきだが、
主体は人間同士なので、
こういった行動心理学の知識は非常に役立つことを忘れないで欲しい。