宗教・政治・文化の視点:東アジアの都市選び

日本から近い生活先の選択

海外で生活をする場合、どこの国やどこの都市に住むかを選ぶ基準はいろいろあると思う。

生活コストで選ぶ場合もあれば、
気候や食べ物などで選ぶ場合もある。

日本から飛行機で6~7時間以内のエリアとなると、事実上、中国、韓国、台湾、東南アジアが対象になる。

インドやオーストラリアも対象にはなるが、
私にとっては少し遠すぎる距離だ。

ロシアのウラジオストクやハバロフスクなども対象にはなるが、
中国東北部以上に寒いとなると、
これも少し対象から外れてしまう。

気候の面から考えれば、上海から南の広東省や雲南省なども対象になると思う。

中国中南部、韓国、台湾、東南アジアはご飯や端の文化が共通しているので、日本人がなじみやすい場所だ。

宗教と政治体制の影響

ただ、観光ではなく、実際に住むとなると、
食べ物や気候だけではなく、
宗教や政治体制も考えなければならない。

これらの東アジアの地域では、私たち日本人のように「宗教的に少しゆるいが、基本的には仏教」という民族にとっては、かなり住みやすい地域だと思う。

要するに、お寺で手を合わせることに慣れていればそれほど困る事はない。

私が拠点にしているインドシナ4カ国(タイ・ベトナム・ラオス・カンボジア)の場合は、
どこに行ってもお寺があるし、
合掌やお線香に違和感がないので、
殆ど宗教がらみで困る事はない。

インドネシアやマレーシアなどのイスラム教国に移住する場合は、それなりに心構えやマナーなどを学ぶ必要がある。

宗教だけではなく政治体制も移住先・滞在先選びに大事なポイントとなる。

東アジアでは、
中国、北朝鮮、ベトナム、ラオスの4カ国
が社会主義国家で一党独裁の国だ。

こういった国の法治のあり方は、日本や韓国などのシステムとは根本的に違うことを頭に置いておかなければいけない。

どちらが優れているとか、どちらが正しいという話ではなく、
その国に滞在したり移住したりする場合は、
その国の体制を尊重しなければならない。

東アジアの主要都市の特徴

北朝鮮には行ったことがないが、
他の3つの国は何度も行ったことがあり、
それぞれ首都と、その国の第二の規模の都市を訪れたことがある。

日本で言えば、東京と大阪のようなものだ。

中国では北京と上海、ベトナムではハノイとホーチミン、ラオスではビエンチャンとサバンナケイトだ。

あくまでも私の感覚だが、
この3つの国の都市に共通しているのは、
「首都は整然としているが冷たい印象」、
「第二の都市は雑然としているが、活気に満ちていてなじみやすい」
という印象だ。

都市の独自性と魅力の比較

東京と大阪を比べてみると似ている面があり、
どちらが自分の肌感覚に合うかは個人によると思う。

特に印象的なのはハノイとホーチミンの違いだ。

この2つの都市は1945年から30年間は北ベトナムと南ベトナムに分断され、それぞれの首都となっていた。

昔からサイゴンは東南アジア最大の商都と言われ、活気に満ちた街であり、ハノイはどちらかというと政治都市という位置づけだった。

だから今でも都市の規模としてはホーチミンの方が大きく、それに比べればハノイは小さな街だ。

北京と上海は、それほどの差はないが、都市の規模は上海の方が大きい部分もいくつかある。

日本のように全てが東京で、
その他は東京のコピーという国よりも、
中国やベトナムのように、
それぞれの都市が歴史に根ざした独自性を発揮している方が格段に魅力的に映る。