ハルビンのロシア風街並みと歴史
2011年と12年2002年続けて中国北部のハルビンへ行ってきた。
黒竜江省の省都で人口千二百万人。歴史的にロシアとつながりが深く、街のあちこちにロシアの風情が残っている。
ハルビンの思い出はと聞かれると、思わず
「足の綺麗な女性が多かった」
と答える自分が情けないのだが、
本当にスタイルの良い中国人が多かった。
おそらくロシア系の遺伝子が影響しているのかもしれない。
街の中心部を南北に走る中央大街(ロシア名キタイスカヤ大通)はロシア時代に作られたヨーロッパ風の街並みで、今は観光名所になっている。
大観園:過去と現在
有名なハルビン氷祭りでも分かるように、
冬になると零下30度以上になる街なので、
どの建物にも半地下のようなスペースがあり、
今ではそこにおしゃれなバーやレストランがたくさんできている。
しかし私がハルビンを訪れた理由は、
ロシア風の街並みを見たかったわけではない。
私が目的にしていたのは、大観園という1930年代にアジアの魔窟と言われた怪しげな場所に興味があったからだ。
当時は上海の大世界・ハルビンの大観園と呼ばれた中国の二大魔窟の1つで、
アヘン・売春・ギャンブルはもちろん、
人間の欲望を刺激するあらゆるものが提供されていたらしい。
1930年代の上海を舞台にした映画はたくさんあるが、ハルビンを舞台にした映画はあまりない。
最近、ネットで「満州アヘンスクワッド」というコミックを見つけた。
この漫画の中にも大観園が出てくるのだが、
とにかく凄まじい世界だ。
残念ながら大観園は既に取り壊されており、
跡地だった場所は大きなショッピングセンターと駐車場になっていた。
ただ駐車場の大部分は未整地のままで、
部分的に廃屋のようなものが残っており、
少しは当時の風情を感じることができた。
傅家甸:ハルビンの別の一面
その廃屋が大観園と関係あるかどうかわからないが)、その近くに傅家甸(フージャデン)という怪しげな場所がある。
大観園は大きな建物だったようだが、
その周辺は「一般人がいちど足を踏み入れたら、絶対に戻ってくることができない」と言われたほどの危ない場所だったらしい。
その傅家甸場かなり広いエリアで、
今でもその地区も地名も残っている。
怖いもの見たさで足を踏み入れてみたが、
もちろん当時のような「戻って来れない」のような事はない。
しかし観光地となった中央大街とは全く別の世界で、街のあちこちで上半身裸の男たちが屋外で麻雀卓を囲んでいた。
中国人のバクチ好きは有名だが、
社会主義の国なので、
表向きは賭け事は禁止されていると思うが、
この街では堂々と卓の上に分厚い人民元の札束が並べてあった。
私が卓に近寄って覗き込もうとすると、
1人の男が大きな声で「覗くんじゃねーよ」
というようなことを叫び、
かなり怖い思いをした。
傅家甸(フージャデン)は面白い街で、
入れ歯を売っている屋台があった。
入れ歯というのは歯医者で型をとってオーダーメイドで作るものだと思うので、
屋台で並べて売るというのはおかしなものだ。
ラグビーなどで使うマウスピースのように、
ドライヤーで温めて合わせるのかもしれない。
さらに面白かったのは、そういった入れ歯を並べて売っている屋台の隣にアダルトショップで売っているようなグッズがずらりと並べてあったことだ。
普通の人たちが行き交う屋外の大通りで、
堂々とアダルトグッズが売っているの中国らしいと言えば中国らしかった。