初めての北京訪問と宣武門
2011年に初めて北京に行った時に泊まったホテルは宣武門という駅の近くだった。
2015年頃から華流ドラマと呼ばれる中国の映画にはまっていて、清朝の歴史物や1930年代の上海ドラマなどはたくさん観ているが、
2011年頃は、まだあまり興味がなかった。
宣武門という名前から何となく昔の北京の城壁の一部だろう位には思っていたが、歴史的に由緒のある場所ということまでは知らなかった。
東京で言えば虎ノ門や桜田門のような感じだ。
現在では、明の時代や清の時代に作られた北京市街の外周をぐるり巡る城壁に沿って地下鉄環状線が作られている。
この環状線には18の駅があり、
そのうち11の駅に門の名前が付いている。
天安門広場の正面が正陽門と言って、
北京城の正門にあたり、皇族や貴族しか使うことができなかったそうだ。
この正陽門の東西に2つの門があり、
西側の門が宣武門だ。
清朝時代のドラマに魅了されて
この門は刑場に向かう死刑囚が通る門だったそうだ。
浅田次郎の小説「中原の虹」に出てくる、
清朝末期の革命家・譚嗣同が公開処刑される場面で、この宣武門を出て刑場に向かう様子が描かれている。
こんなことを知ったのは何年も後になってからであり、
「そうならそうと、早く言ってくれよ」という気持ちになった。
しかし2011年頃はまだ時間の余裕もなく、
仕事もいっぱい忙しかったので、
ゆっくり本を読んだり映画を観たりする心の余裕がなかったので仕方のないことだ。
歴史的な場所を巡る楽しみ
この後にも北京には何回も言ったが、
華流ドラマを観たり中国現代史の本や資料をじっくり読む時間ができてからは、
毎回の街歩きが楽しみだった。
華流ドラマでは清朝の宮廷ものが大人気だ。
宮廷物の二大潮流は後宮の争いモノと皇族の奪権闘争モノだ。
清朝第4代皇帝の康熙帝の13人の子供たちが皇帝の座を争う「九王奪嫡」(きゅうおうだっちゃく)は最も有名で、これをテーマにしたドラマだけでも5〜6本は観ている。
その中でも私が大好きなのは第13皇子の「十三皇子・胤祥(インショウ)」だ。
壮絶な権力闘争の末、最終的に皇帝の座を射止めた第四皇子・雍正帝が唯一心を許した弟で、なかなか味わいのある生き方をした王子だ。
雍正帝が主人公になるドラマが多いので、
どうしても胤祥は脇役になりがちなのだが、
宮廷の茗薇<めいび> ~時をかける恋では主役を演じていて、とにかく面白かった。
この「十三皇子・胤祥」が住んでいたのが、
北京の銀座にあたる王府井の近くのあたりで、
2015年頃、3回目か4回目に北京に行った時には丸一日がかりでこの場所を捜し当てた。
海外セミリタイア生活の醍醐味
ここには既に建物はなく、かつての建物から2キロほど離れた朝暘門近くに移転されたようで、この近くにも2回ほど宿泊した。
中国の歴史文物の豊富さはどんなに日本が頑張っても足元にすら及ばないので、
こういった歴史遺跡巡りの醍醐味は半端ではない。
歴史博物館の規模も桁違いで、
歴史遺産の保存に関しては、日本が到底真似できないような予算や手間をかけている。
日本のように土地が個人のものではなく、
国家のものという社会主義の国ならではの政策なのだろう。
こういった歴史ドラマなどに出てくる場所時間を気にせず、のんびりと探索できるのも海外セミリタイア生活の醍醐味だ。