もう20年以上前になるが、莫大な借金を背負って馬車馬のように働いていた頃、
肉体的の疲れだけではなく、精神的にも疲れ果て、自律神経失調症を患ってしまい、
「この先、一体どうなるのだろう」と悩む毎日が続いていた。
借金と疲労の連鎖からの脱出
悪いことが重なるもので、右目の視野の半分位が、ぼんやりと霞むような病気にもなり、
パソコンの使い過ぎで首や肩がやられてしまい、ある時期はクルマの運転もままならなかった。
何とかこの日常から逃れたいともがいていたのだが、当時は、加入していた業界団体の会員企業のITサポートが主な業務だったので、
日々の営業や業界団体の雑用など、やらなければならない事はたくさんあった。
何か新しいビジネスモデルはないかと、
色々とチャレンジしてはいたのだが、
その都度「この業界団体のルートがなくなったら、売り上げが立たない」と怖くなり、嫌々ながら仕事を続けていた。
石原明先生の本と出会い
そんな時に、ふと出会ったのが、経営コンサルタントの故・石原明先生の著書
「営業マンは断ることを覚えなさい」
という本だった。
確か2007年の終わり頃だったと思う。
マーケティングの世界では有名な書籍なので、知っている方も多いと思うが、
「クライアントの言うことを聞いてはダメ」「お客を選ぶことが大事」
というような内容で、その中に
■ 蓄積型ビジネスの優位性
蓄積型ビジネスで自由を手に入れる方法
ということが書いてあった。
蓄積型ビジネスモデルの優位性
保守料とか顧問料のように、小さな金額でも毎月定額で収入があるビジネスモデルが優れているという内容で、
今で言うサブスク型のビジネスということになる。
当時の売り上げは、パソコン導入や社内LANの構築など、一件あたりの売り上げ金額は大きいけれども、
明けても暮れても営業を続けなければならず、ビジネスモデルを改良したり、それを育てる時間が取れないから、「ダメなビジネスモデル」の典型だった。
ちょうどその頃は中小企業がホームページを持ち始めた頃で、
あるホームページ制作会社の販売パートナーとなって、既存のクライアントさん達に紹介していった。
タイミングがズバリと当たったのか、
なんと成約率が80%以上という驚異的な数字で、瞬く間に20件ほどの契約が取れた。
そしてその数ヶ月後に神風が吹いた。
いまブームになっているChatGPTほどではないが、当時は
「これからは、ホームページが営業マン」
みたいな流れができており、
テレビでも雑誌でも、たびたびホームページの話題が取り上げられていた。
成功の追い風と海外セミリタイアへの道
追い風に乗って、いろいろ営業やセミナーを開催しているうちに、
業界団体の大御所から声がかかり、
「もうすぐ大きなイベントがあるのだが、講演してくれないか」
という依頼だった。
もちろん大喜びで引き受けたし、準備も万端に整えて当日の公演に備えた。
ただ、正直言って「神風が吹く」なんて事は考えてもいなかった。
1時間半ほどの講演が終わり、ステージから降りて来て講師席に座るやいなや、
私の前後には、6~7人位の会員の方が集まり、我先に、「今、ここで申し込みます」と行ってくるのだ。
これがきっかけで、それまでの小さな業界団体の中だけの営業から、一気に全国デビューを果たすことになった。
このときばかりは本当に驚いて、お一人お一人の名刺をもらったり、用意したレジメの裏に会社名と電話番号を書いてもらうなど、テンテコ舞いの状態だった。
ここから弾みがついて、なんとその年の年末には100件以上の会社から毎月の定額の管理料を頂けるようになった。
今振り返ってみても、
本当にこの時がトレンドの変わり目で、
この2年後位には、いよいよ海外セミリタイア生活がスタートすることになったのだ。