円安時代のリタイア戦略:外貨建て資産が必須

私の先延ばし癖は子供の頃からのもので、母親は「お前はイザとならなければ何もしない」といつも言っていた。

先延ばし癖とリタイア戦略

単に面倒臭がり屋なのではなく、計画を立てるのが好きで、それで安心してしまって、直前まで先延ばしをするという悪い性格なのだ。

だから、私が「セミリタイアは早いほうがイイ」などとは言えない立場なのだが、10年以上海外生活を続けた経験から、老人大国の日本がズルズルと沈みこんでいく様子がハッキリとわかるので、とにかく行動を起こした方が良いという気持ちは非常に強い。

日本の経済状況とリタイアへの影響

日本の年金制度が安泰だと思っている人はいないと思うし、インフレや円安が一時的なものだと楽観視できる人を少ないと思う。

コロナが終わってインバウンドが戻ってきたが、それは何も日本文化に憧れているとか、おもてなしを求めているのではなく、単に日本の物価が安いからだ。

物価というのは単純な物の価格ではなく、それを作り・運び・売る人の人件費が安いということだ。

日本の円安が進むという事は、相対的に海外の通貨が高くなるということなので、東南アジアの中でも、特にタイのバーツはどんどん高くなっている。

外貨建て資産形成の必要性

将来の事は誰もわからないが、経済発展をしている国の通貨で資産形成をするというのが合理的な方法なので、円建ての資産運用だけで良いのかを問い直してみる必要がある。

考えてみれば、平成の30年間が特殊な時代だったのではないかと思う。

円高だから海外から安い商品がどんどん入ってくるし、デフレで少しずつ物価が下がるから、資産防衛を考えなくても、「何もしないことが最強の資産形成戦略」という異常な時代が続いていたのだ。

ところが令和が始まるとともに、コロナとインフレと円安が同時に始まった。

幸いコロナは治まったが、異常気象や南海トラフ地震などのリスクは消えていないし、日本の将来はプラス要因より、やはりマイナス要因の方が多いと考えた方が無難だと思う。

既にリタイア生活に入った人たちでも、あるいはまもなくリタイアを迎える人たちでも、公的年金と預貯金と国内の投資信託と不動産収入と揃っていれば、殆どの人が安心するだろう。

ただ、それらを全て円建て資産ということを忘れてはならない。

公的年金がインフレを克服できると思えないし、不動産は老朽化や地震のリスクがある。

そう考えると、少なくとも外貨建ての資産形成は必須となるし、多くの人がそれに気づくほど、さらに円安が進んでいくことになる。

人的資本と賞味期限:最強のポートフォリオ

幸いにも情報革命の恩恵で、日本にいても様々な通貨の資産に分散投資もできるし、世界中の株式に分散投資をするVTやVTIなどのETFに投資することも簡単にできるようになった。

リタイアを考えている人たちは、分散投資の重要性やポートフォリオの重要性を十分に理解していると思うから、こういった外貨建て資産にも資金を振り向けていると思う。

ただ、私の考えは少し違う。

私の頭の中には、金融資産だけのポートフォリオは存在せず、人的資本の現在価値とその賞味期限こそが最強のポートフォリオだと考えている。

少し難しい言葉で書いてしまったが、人的資本の現在価値とは、単純に言えば「毎月いくら稼げるか」ということで、30代40代の早い段階から手堅く稼ぐこともできる蓄積型のネット型ビジネスを手がけていれば、金融資本の額などに一喜一憂せずに、楽々とした人生設計ができるのではないかと思っている。

クライアントからの信頼にしても、自分の経験値にしても、それらが蓄積されればされるほど価値を増すので、早くスタートしたものの勝ちなのだ。