リタイア後に海外移住を計画している人も多いと思うが、
ずっと永住するのか、将来は帰国するのかは難しい問題だと思う。
コロナ前に流行っていたFIREの生き方を目指している人たちの中にも、
海外移住を計画している人が多いと思う。
FIREの出口戦略
40代では「将来はどうするのか?」までは、なかなか考えられないと思うが、
50代とか60代で海外移住を考えている場合は、出口戦略を考えておく必要がある。
永住ではなくて、ある年齢になったら日本に戻ろうと考えている人も多いと思うが、
海外での生活に慣れてしまうと、
なかなか日本に帰ることが難しいという話を聞くことがある。
生活コストの差で、日本に帰ることが難しい
それは食べ物とか気候ではなく、金銭感覚とか生活コストの問題だ。
海外では生活コストが安いので、年金と預貯金の取り崩しでも、
1人暮らしなら、月に10万円あれば生活できる。
もしこの金額以外に収入がないとすれば、日本で生活することはできない。
帰国したときのために預貯金には手をつけず、
「海外では毎月の年金だけで暮らす」と考えている人も多いと思うが、
インフレが進めば日本に残してある預貯金はどんどん目減りしてしまう。
もちろん株式やETFなどの運用で着実に資産防衛ができれば問題ないのだが、
これだけ変化の激しい時代に10年後を見通すのは非常に難しいと思う。
インフレで預貯金はどんどん目減り
移住先の国々のインフレも大きな問題だ。
ここ数年は円安と現地のインフレで、私だけではなく、海外で生活している人たちは、みんなが
「以前はよかった」、「最近は厳しいなぁ」
と感じているはずだ。
タイのチェンマイでの話だが、
日本人の年金生活者が、費用の面で病院に行くことができず、
身寄りもないため生活困窮者になっているという話を聞いたことがある。
昔、オイルショックがあった頃に、日本でも凄いインフレが起こり、
トイレットペーパーや洗剤の買い占めが起こったらしい。
子供心に、家の廊下の壁際にトイレットペーパーや洗剤が天井まで積んであったのをよく覚えている。
平成になってからは物価も上がらないし、銀行預金の金利もずっとゼロが続いていたので、
日本人はインフレを忘れているようだが、海外で暮らしていると毎年少しずつ物価が上がっているのをよく肌で感じる。
国民皆保険制度は優もの
生活コストだけではなく、歳をとってからの病気や介護のことを考えると、
フルタイムでの移住は準備することが多すぎるようで、私にはなかなか踏み切れない。
私も半分は海外で暮らしているが、やはり日本の国民皆保険制度は優れたもので、
保険証1枚で世界最高水準の医療が受けられる国は、多分世界中で日本だけなのだろう。
毎回、向こうから日本に帰ってくる時は、
「帰りたくないよー」
と思うのだが、それでもまだ移住や永住にはなかなか踏み切れないでいる。