コロナの隔離覚悟でバンコクに向かう

私のようなライフスタイルを続けている人間にとっては、
コロナ禍に見舞われた2020年は忍耐の日々だった。

国内での生活が苦痛というワケでもないし、
人類史上で初めての世界的パンデミックだから、
多少の事は我慢できる。

ただ、それまでは

「海外で生活している」

ということをほとんど意識せずに往復していたものだから、
現地での確定申告や税金の支払い、ビザの更新などが

「あ、日本にいたら何もできない」

ということに気づき、愕然となった。

それぞれの国の法律がどうなっているとか、
手続きはどうすれば良いか?という話ではなく、

コロナという異常な状況で、
自分のビザや労働許可証はどうなるのだろう?
ということが全くわからない状況は、
例えようもないほど不安に駆られるものだった。

現地での14日間の隔離

それでも、心配ばかりいてもしょうがないので、
2020年12月には、意を決して現地での14日間の隔離覚悟で
バンコクに向かった。

それまでは、バンコクのスワンナプーム国際空港に着いて、
飛行機を降りた時に感じる
南国特有の湿った空気に触れると、

「帰ってきた」という感覚を覚え、

そして自宅に向かうタクシーの中で、

「今回は、どうやって遊ぼうか?」

と考えるのが毎回の楽しみだった。

ところが、コロナ後の1回目の渡航では
飛行機を降りてからホテル行きの車に乗るまでに4時間もかかった。

検疫やらPCR検査やら、様々なチェックがあり、
政府指定の隔離専用ホテルが用意した車に載せられるのだ。

政府指定の隔離専用ホテルのスタッフ

それまでの渡航とは違い、車に乗った瞬間に

「これから先の、ビザや労働許可証の更新が思いやられる」

とウンザリした。

ビザの更新には、ほぼ丸一日かかる

何故かというと、タイだけではなく
東南アジア諸国は全てそうだと思うが、
労働許可証の更新やビザの更新には、ほぼ丸一日時間がかかる。

賄賂を払えば2時間程度で済むのだが、
その金額が日本円で3万円から4万円もかかるので、
さすがに、この金額では少し二の足を踏む。

ワイロの他に、正規の手続きと代理店への手数料がかかる。

これが7万~ 8万円で、トータルで10万円以上の出費はかなり厳しい。
費用だけではなく、更新手続きでは、
50~60枚位の書類にサインをしなければならない。

延々とボールペンでサインし続けるのは、
ウンざりするだけではなく、本当に手が痛くなる。
このサイン文化はタイ独特のものらしい。

パスポートに登録するサインには注意

先輩からは

「パスポートに登録するサインは漢字じゃなくても大丈夫」

と教えられていたのだが、

前回のパスポート更新の時には漢字で正しく登録したので、
かなり時間がかかる。

このように、イミグレ(入管事務所)での手続きは、
コロナ前の正常時でも一苦労なのに、

コロナの異常な状況の中で、果たしてどうなるのだろうと
不安でいっぱいだったが、結果的には「なるようになった」

何の問題もなかったのだが、
海外セミリタイア生活を開始してから
初めて体験した海外での生活の大変さを知った瞬間だった。