東南アジアの禁酒日と庶民の知恵

2015年からタイの首都バンコクを拠点に、
インドシナ4国(タイ・ベトナム・ラオス・カンボジア)を巡り歩いているが、
時々「本日はお酒の販売できません」という張り紙を見つけて、途方に暮れることがある。

東南アジアの禁酒日

特にタイで遭遇することが多く、「東南アジア禁酒日」で検索すると、ズラリとタイの禁酒日に関する情報が出てくる。

イスラム系の国や都市でもお酒の販売は厳しいようだが、私が拠点にしている四カ国ではタイが1番お酒に厳しい感じだ。

普通の日でもお昼の時間帯と夕方から夜の時間帯以外はコンビニやスーパーでの酒類販売が禁止されている。

慣れるまでは少し苦労したが、
アル中ではないので、
慣れてしまえばどうということはない。

仏教祝日と禁酒

その他、仏教関係の祝日で終日お酒の販売が禁止される日がある。

長い場合は3日ぐらい連続してお酒を買うことができなくなるので、事前に買いだめをする等の対策が必要だ。

しかし、これもネットで調べれば「今年のタイの禁酒日カレンダー」のような情報がたくさん出てくるので、ちょっと下調べをしておけば問題はない。

これまでで1番困ったのは、2023年5月の総選挙の時だ。

各国の祝日はGoogleカレンダーですぐわかるのだが、
総選挙の投票日前日からアルコール販売禁止
になるという事はうっかりしていた。

その2〜3日前からたまっていた仕事を片付けるために仕事に集中しており、投票日前日の土曜日の夜は
「よくやった自分へのご褒美ナイト」
として少し余計に飲むつもりだったので、
落胆は大きかった。

それでも、「どこかに、こっそり売ってくれる店があるだろう」と探し回ったのだが、
6〜7軒位回ったけれども、
結局は手に入れることができなかった。

庶民の知恵と抜け道

たかだかビールを飲むためにそんなに探し回らなくても良いと思うかもしれないが、
実は「探せば何とかなる」という経験
があったからなのだ。

コロナの頃にはアルコール販売やバーの営業が全面禁止されていた時期があり、
この時には闇営業や様々な抜け道が黙認されており、「隠れて酒を飲む喜び」を経験していたものだから、
諦めきれずに街を探して歩いたのだ。

禁酒法に対抗して庶民が考えだした抜け道は、面白いものがいろいろあった。

日本人向け高級クラブの中には、
わざわざ店内を改装して「隠しドア」まで作ったお店があった。

外から見ると全く壁にしか見えないのだが、
そのドアを開けると、中にはカウンターが7つか8つと、3つ位のボックスが並んだ立派なクラブが姿を現すのだ。

東南アジアの盛り場に多くある、
道路に面してカウンターが並ぶバーの中には、
外から見てビールやアルコールとわかる容器は使わずに、
金属製のアイスコーヒーを入れるような金属製の容器にビールを注いで、フタをしてストローで飲むスタイルが多かった。

もう一つ笑ってしまったのは、大きめのコーヒーカップに入れたカフェカプチーノ風生ビールだ。

確かにカップの一面に泡が浮いていると、
「これはカフェカプチーノだ」
と言われれば、まぁ、そう見えなくもない。

こんなふうに、規制があればそれに対抗する庶民の知恵があり、それらを経験するのも海外旅行では味わえない長期滞在の楽しみの1つだ。