円安時代の資産運用戦略

最近の急激な円安で、これまでコツコツと外貨建て資産を蓄えてきて良かったと思う

ドル建ての生命保険と米国株が中心で、
わずかだがバーツ建の保険や預金もあるので、
円安で資産額が増えていくのは嬉しいものだ。

急激な円安と資産保全の重要性

ただ長い目で見ると、
一方通行の円安が進むかどうかわからない。

過去の例を見れば、急激な円安が進んでも、
その後に急激な円高の巻き戻しが起こったり、
その逆のパターンもたびたび起きている

未曾有の高齢社会となり、労働人口が減少している日本の通貨が上昇する可能性は少ないが、為替相場の予測は誰にもできない。

円安が確実なのであれば無限の円安が進むはずだ。

例えば、ある時点の為替相場が1ドル150円だと仮定する。

この時、マーケットに参加する人たちの半分は150円でドルを売って円を買っているわけだから円高を予測していることになるし、
半数の人は同じ価格で円を売ってドルを買っているわけだから、
円安を予測していることになる。

為替予測の不確実性とリスク管理

株式相場でも為替相場でも、
常にその時の値段が正しい価格であり、
誰も予測ができない。

もし予測ができる人がいたならば、
一夜にして莫大な利益を手に入れられるワケだから、「相場の予測はできない」というのが正しい考え方だ。

そうはいっても、すべての人が相場の先行きを予測して売ったり買ったりしているわけだから、「予測はできない」という言葉自体が無意味なのかもしれない。

いずれにせよ資産を防衛していくためには、
常に円高・円安両方の可能性を考えながら、
ポートフォリオ組み立てていかなければならない。

ところが、これだけ円安が進み、世界中のマーケット参加者の半分が「長期的には円安」と判断しているにもかかわらず、
多くの日本人は「円高になって損をするのが怖い」と考えてドル資産を持とうとはしない。

日本人の外貨資産に対する慎重姿勢

繰り返しになるが、円高になるか円安になるかは誰もわからない。

しかし、少しややこしい表現になるが「円安になる可能性があるのであれば、その対策を立てなければならない」と考えている。

要するに日本円しか持っていないことのリスクに気づかなければいけないのだ。

100%円安になると予測するのであれば、
即刻、すべての円建て資産をドル、もしくは他の外貨に替えるべきだろう

しかし為替の予測は誰もできないわけだから、
一定割合を円資産で持ち、一定割合を外貨建で持つというのが合理的な考え方だ。

今、円安が進んでいるので、ドルを始めとする外貨建て資産を持っている人間にとっては「よかった」と見えるのだが、
実はそれは円建ての額面が増えただけで、
決して儲かっているわけではない。

インフレと資産価値の関係

それが証拠に、100ドルは100ドルなので、
アメリカに行けば100ドルの価値しかない。

ところが、アメリカでは年率5%ほどのインフレが進んでいるので、1年前の100ドルは今は95ドルの価値しかないことになり、2年前に比べれば90ドルの価値しかないことになる。
(あくまでも、ざっくりとした計算)

すなわち、ドル建ての資産を持っていても、
ドル紙幣の価値は毎年のインフレ率の分だけ喧嘩しているのだ。

だから資産形成はインフレ率以上のパフォーマンスがなければ、質資産価値が減価しているということを知らなければならない。

これは資産運用では当たり前のことなのだが、
平成の30年間、デフレと金利ゼロに慣らされた日本人にはなかなか理解ができないことのようだ。