キャッシュレス化の遅れと円安

キャッシュレス化と日本の遅れ

中国を先頭に世界中でキャッシュレス化の動きが広がっている。

日本でも1週間ほどなら小銭ナシの生活が可能な位には普及してきたが、
基本的な部分ではキャッシュレス後進国だ。

基本的な部分というのは、
銀行間の送金の部分だ。

異なる銀行同士の振込手数料が無料になればキャッシュレスの流れは一気に加速する。

QRコード支払い:海外の事例

複雑なシステムを開発したり、
インフラを整える必要はなく、
お互いの銀行口座のQRコードを見せ合うだけで送金が完了する。

東南アジアでも急速にキャッシュレスが進んでおり、バンコクなどの都市部だけではなく、田舎の小さな町の屋台やバイクの移動式店舗でもQRコードで支払いができる。

このシステムは現地の銀行口座がないと使うことができないので、残念ながらノービザで入国した場合には使えない。

ノービザで長期滞在を考えている人も少なくないと思うが、
こういった形で少しずつビザなし外国人の生活は不便になってくるかもしれない。

屋台のQRコード支払いに複雑なシステムがあるわけではなく、屋台のおばちゃんは自分の銀行口座のQRコードを印刷した紙を貼っているだけなのだ。

支払う側はスマホに入っている銀行のアプリでQRコードを読み、金額を入力して送金する。

銀行間の送金手数料が無料であれば、
たったこれだけで完全なキャッシュレス化が実現できる。

日本の教育と情報革命の課題

銀行側はシステム維持のコストがかかるが、
それを賄うのがビッグデータの価値だ。

何百万人もの人が1日に何十回も利用するわけだから、そこで生まれる膨大なデータに価値が生まれる。

この価値にいち早く気づいたのがGoogleでありAmazonだ。

Googleの膨大なサービスの殆どが無料で利用できるが、Googleといえどもボランティアではないので「したたかな損得勘定」がある事は誰でもわかる。

その根本がビッグデータなのだ。

Amazon Primeは無料ではないが、
そのコスパの高さは誰もが理解しており、
世界中で膨大な量のデータが自動的に蓄積されていく。

これをマネタイズするノウハウがあるかないかが分かれ道であり、
日本の銀行はその価値に気付くことなく、
情報革命の敗北者となった。

銀行だけが遅れているわけではなく、
日本の教育現場は文系優先で、
社会全体の情報革命に対する認識が低い。

数学オリンピックでも10位以内が精一杯で、
上位には中国、アメリカ、インドが常連で並び、韓国やベトナムも上位の常連だ。

人口の多い中米印各国はともかく、
韓国やベトナムが上位に入る理由は、
国レベルで情報革命の本質を理解しており、
国を挙げて数学教育や理系の英才教育に資源を投入しているからだ。

海外セミリタイア生活と キャッシュレスの影響

キャッシュレス化が遅れるだけなら
「現金を持てば良いじゃないか」
ということになるのだが、
世の中がどんどんIT化 ・ DX化していけば、
セミリタイア生活に入ったミドルや高齢者にとっては厳しい状況となる。

日本国内ならまだしも、
海外で銀行口座を作ることも簡単ではなく、
本人認証の手続きなども国内に比べれば、
はるかに複雑になる。

そういった部分までがワンストップでシームレスになるのは相当先になるので、キャッシュレス化を始めとする情報革命の波は海外セミリタイア生活にとっては大きな問題となる。

決定的な解決策はないのだが、
とにかくビザを取得して銀行口座だけは確保した方が良いと思う。

タイの場合なら、50歳以上の場合はリタイアメントビザ、それよりも若い場合は語学学習ビザが1番取りやすいと思う。