地球と月の距離は38万キロで、これと同じ長さの長大なロープがあったと仮定する。
このロープは特殊な合金繊維でできており、
どんな重量にも耐えられ、
絶対に切れる事はない頑丈なロープだ。
頑丈なロープが地球から月に向かうロケットに接続される。
その先端は月に向かうロケットに接続されている。(架空の話)
ロケットが打ち上げられると、ロープも一緒に宇宙に向かう。
発車後数秒でロケットは地上から数キロの高さに達するので、
ロープも先端から数キロの長さが地上から離れることになる。
しかし残りの38万キロの大部分は、まだ地上に残ったままだ。
このロケットは月に向けて加速度を増し、どんどんスピードを上げていくので、わずか数日で月に到着する。
ロケットの加速とロープの増長
ロープが地上から巻き上げられるスピードはどんどん増していき、
宇宙初デビューを果たすロープの長さはどんどん増えていく。
しかし6時間たっても12時間たっても、
まだ地上には
ロケットが発射されたことも知らないままの、
とてつもなく長いロープが残っている。
何をイメージしているかというと、
月に向かうロケットが情報革命で、
ロープはその情報革命の流れに乗る人々というイメージだ。
人よりも先に新しい技術やプラットフォームを活用した人間はロープの最先端部分で、
それらの動きに触発され、新しい技術やサービスを取り入れた個人や企業が、
それに続いて、いち早く宇宙に飛び立ったロープの先端部分というイメージだ。
一方、情報革命を理解せず、ただ惰眠を貪っているだけの企業や集団は、
地上に取り残されたままのロープというイメージだ。
このロープは、絶対に切れない頑丈なロープである上に、とてつもない伸縮性を備えており、当初の長さの何十倍にも伸びることができる。
ようやくロケットが月の周回軌道に入った頃、宇宙デビューを果たしたロープの全長は、38万キロメートルとなるが、
とてつもない伸縮性を発揮したため、
地上にはまだ20万キロ以上のロープが残されていた。
最先端部分の近くにあったロープは、驚くほどの速さで月に近づくことができたし、
最先端から10万キロから15万キロも離れた部分のロープでさえも、
その伸縮性により、地球から旅立ち、宇宙空間に到達することができたのだ。
情報革命とロープのイメージ
残念ながら、先端から20万キロ以上離れた部分のロープ(人々や集団)は地上から離れることができず、
「自力で、このロープを上っていけば、少しは月に近づくことができる」と悲壮な覚悟でロープを登り始めるのだ。
私は小説家や文筆家ではないので、
表現が下手だが、
このイメージを理解してもらえるだろうか。
情報革命は早い者勝ちだ。
この流れに乗った者が勝つので、
「迷うよりも動け」
「とにかく新しいものに飛びつけ」
ということが情報革命の時代の教訓なのではないかと思う。
ちなみに、月の周回や着陸を目指さない宇宙探査機は10時間ほどで月に到達するらしい。
周回や着陸を目指すアルテミス計画のような場合は、ゆっくりと進み、数日かけて月に向かうそうだ。
もう一つ余談だが、38万キロメートルのロープの面積はどれぐらいになるのかと思って調べてみたら、
蚊取り線香の長さを計算する方法が紹介してあった。
ロープのイメージではなく、幅が1メートルで長さが38万キロの長大なテープを考えてみよう。
メートルに換算すると、3億8000万メートルなので、面積も3億8000万平方メートルだ。
これをグルグルと蚊取り線香のように巻いたとすると、
円の面積の計算から半径は11キロとなる。
これがどれぐらいの広さかというと、東京外環自動車道が「都心から約15キロ圏内」ということなので、
海の面積を差し引くと、大体外環道の内側にびっしりとロープが巻かれており、
中心となる皇居がロケット発射場のようなイメージだ。