異常気象と海外セミリタイアの現実

2023年の異常気象と日本の猛暑

2023年7月と8月、日本では連日のように熱中症警戒アラートが出続けていたが、ハワイのマウイ島で史上最悪の山火事が起きたり、ヨーロッパで熱波による被害が続出したり、世界中が異常気象に襲われていた。

今更、異常気象や気候変動は珍しいニュースではないが、日経新聞に「暑すぎる世界・涼を求め米西海岸からタイに。熱波が生む常夏の避暑地」という記事が載っていた。

アメリカの西海岸では、地域によっては日中の最高気温が50度になったりして、とても住めたものではないという。

タイが新しい避暑地として 注目される

東南アジアと言えば「赤道直下」「常夏の国々」というイメージが強いが、実際に住んでみると、7月とか8月は東京や大阪よりもずっと過ごしやすい。

例えば2023年7月と8月のデータを見ると、最高気温では東京の方が2度から3度高い。

タイの場合は4月が最も気温が高く、7月、8月は雨季になるので少し涼しくなる。

日経新聞の記事によれば、アメリカやスペインなどから「避暑のためにタイに訪れる」欧米人観光客が急増しているそうだ。

物価が安いうえに、気候が良くて住みやすいとなれば人気が出るのも当然だろう。

はっきりとしたデータがあるわけではないが、10年前と比べてみると、確かに欧米人の数は増えてきたように思う。

それもバンコク中心部だけではなく、中心から地下鉄や電車で30分ほど離れた住宅地でも欧米人を目にしない事はない。

その上、タイの場合は2022年からマリファナが解禁となったので、さらに人気が出ているようだ。

東南アジアでの セミリタイア生活と気候変動

私自身、寒いのも苦手だが、暑いのも嫌なので、3月中旬から5月下旬位までは日本で過ごし、その後東南アジアに移動して、日本の猛暑が過ぎるのを待つ。

9月下旬位から11月位まで日本の秋を堪能し、その後に日本が寒くなり始めた頃に、再び東南アジアに移動するという理想の生活を続けている。

タイだけではなく、ベトナムラオスもカンボジアも、11月から2月末位までの乾季は非常に過ごしやすい。

こういった形で世界中から注目されているので、じわじわとタイバーツの価値が上がり、一方の日本円はズルズルと円安が続いているので、私たちのような海外セミリタイア生活者にとっては非常に厳しい状況が続いている。

円安での 海外年金生活者の現実

日本人の年金生活者に人気のあるチェンマイでは、この円安によって生活に困窮する日本人年金生活者が続出しているそうだ。

日本のように国民皆保険があるわけではないし、生活保護を受けられるワケでもない。

例えば10年ほど前の円高だった頃からには1バーツ3.3円だった。

この頃に年金生活に入り、タイの地方都市で生活を始めたとする。

毎月の年金から海外に送金できる予算が月に15万円あったとすれば、バーツに換算して45000バーツ位になる。

10年ほど前の現地の物価水準からすると、
この金額は日本の45万円位の価値があるので、かなり楽な生活ができた。

実際に私が初めてバンコクを訪れた2014年頃は、本当に申し訳ない位物価が安く、嬉しくて涙が出たほどだ。

しかし10年経ったいま、1バーツは4.2円位まで上昇し、現地の物価は当時に比べて5割ほどアップしている。

ザックリとした計算だが、10年前に45000バーツだったトータルの生活費は、5割増で67500バーツに値上がりしている。

一方の年金は、円安の影響で15万円は35000バーツとなっから、10年前の半分以下の生活しか出来ないことになる。

これはかなり厳しいことで、健康管理や生活費の管理をきちんとしていた人は良いけれども、そうでない場合は大変なことになる。

仕事を持たずに完全リタイアをした場合には生活のリズムを乱す人が多く、どうしてもルーズな生活になりがちだ。

そういった人の中には、体を壊した上にお金がなくなり、それまでは「ボス、ボス」、「社長、社長」などと親しくしてきた現地のタイ人たちも、金の切れ目が縁の切れ目でいなくなってしまうケースも多い。

「チェンマイ 年金 困窮」などのキーワードで検索すると、そんな事例がたくさん出てくる。