バンコクでの民泊経営はグレーゾーン

2017年から5年ほど、バンコクで
エアビーの民泊ホテルを経営していた。

前半の3年間は驚くほど利益が出たが、
2020年からはコロナの直撃を受けて、
天国地獄を味わった。

絶好調の民泊経営、コロナの直撃で天国地獄

コロナは人類史上誰も経験したことのない事態なので、事前に想定できるハズがない。

結果的には2022年に完全撤退したのだが、
特に後悔することもない。

もともとバンコクで外国人が民泊を経営するのはグレーゾーンだったので、
撤退にはよい機会だったと思っている。

驚くほど利益が出た事だけではなく、
世界中からゲストが集まるとか、
ミャンマー人をメイドに雇うなど、
ものすごい経験ができたので、
本当に良い思い出になっている。

2016年の秋ごろから準備を始め、
オープンは2017年の2月だった。

クールシーズンだったので、
開業初月から単月黒字になり、
当時はウキウキの気分だった。

2号物件を探してカンボジアのシェムリアップへ

半年ぐらい経ってから、アンコールワットで有名な隣国カンボジアのシェムリアップに行くことがあった。

シェムリアップは小さな街だが、年間の観光客数は2019年実績で約426万人という東南アジア有数の観光地だ。

ベトナムで人材紹介の仕事をしている日本人の知り合いがシェムリアップに滞在しており、

「こちらでも民泊をやっている若い人がいるので、遊びに来たらどうか」という誘いだった。

バンコクの物件が絶好調だったので、
2号物件を探していたこともあって、
二つ返事で行ってみた。

シェムリアップはアンコールワットしかない小さな街で、空港から中心部へ向かうのも、
タクシーではなくトゥクトゥクで20分ほど走る。

幹線道路沿いにも牛や馬が放し飼いにされ、
ザ・東南アジアという感じだった。

友人が泊まっていたホテルは、平屋建て2棟と二階建て一棟で合計18室が、プールをコの字型に囲んでいる大きな物件だった。

住み込みでホストをやっていたのは淳太郎君という28歳か29歳位の若者で、
エアビーの集客からゲストの受け入れ、
現場で働くカンボジア人の手配など、
全てを1人でやっていたので、
なかなか見所があるなと思った。

気さくな青年で、私の友人から「彼に新しい物件を探してもらうか、この物件に出資したらどうですか」との提案があった。

バンコクという大都市の一等地にある物件に比べると、かなりギャップを感じたのだが、
それでも欧米人の家族連れがプールで遊んでいるのを見て少し触手が動いた。

断水や停電の頻発で進出断念

ただ建物自体が少し古く、
私が泊まっている間にも水道が出なくなるなどのトラブルがあり、管理が大変そうだった。

バンコクに比べて頻繁に停電が起きるという事情もあり、一筋縄では行きそうもないという感じだったので、とりあえず出資は一旦見送ることにした。

バンコクの1号物件を手がけてから1年も経ってないので、それほど経験があるわけではなかったのだが、それなりに経営者としての目で見ることができた。

この頃に流行っていたビジネスモデルは、
人気のエリアで安い賃貸物件を探して、
内装や備品を東南アジアらしく仕上げて、
エアビーで回すというスタイルだ。

当時、まだエアビーに出されている物件は少なかったが、それでもバンコクやホーチミン、シェムリアップなど世界中の誰もが知っている観光地にはたくさんの物件が出ていた。

上から下までIKEAで揃えてはダメ

こういった地区には数年前から家具大手のIKEAが進出していた影響もあり、
現地の人たちが手掛けている物件は、
せっかくの東南アジアらしさを捨て、

「上から下までIKEAで揃えました」
みたいな物件が大半を占めていた。

ちょうど、日本の旅館が「畳や床の間は古臭いので、思い切って洋風に改装しよう」みたいな感覚だ。

そう考えると、多少古くても「そこが逆に東南アジアらしくて良いかもしれない」とも考えられるのだが、停電や断水は困る。

外国人の目から見て「いかにも東南アジアらしい」という物件は古かったり古民家風だったりするので、テナント料が安いので、なかなか判断が難しい案件だった。