ホームページ制作は副業として成り立たなくなる

ホームページの制作や管理は完全にリモートで作業ができるので、これを主な収入源としてノマド生活を送っている人も大勢いる。

昔ほどではなくなったが、今でも中小企業のホームページの制作費は、30万円から50万円位が相場だし、小さなレストランや美容院でも10万円から15万円の制作費が請求できる。

毎月の管理費も企業であれば1万円から1.5万円、小さなお店でも5000円位を請求できるので、クライアントが10件ぐらいあればそれなりの収入源となる。

私が地元の会社やクリニックのホームページ制作を手がけるようになったのは2007年頃で、
この頃は圧倒的に需要と供給のバランスが「制作側有利」状況だったので、次から次へとクライアントを獲得することができた。

ちょうどこの頃は、ホームページの制作システムがHTML直打ちという方法から、ワードプレスに代表されるCMSに大きく変わりつつあった頃だ。

地方都市の場合は、まだ多くのホームページ制作会社がHTML直打ちという非常に効率の悪い方法でホームページを作っていたので、
どうしても制作費が高くなってしまう。

それに比べて私が手がけたのは、
今では主流となっている、ワードプレスでホームページを制作するという方法だった。

今でこそホームページと言えばワードプレスという時代だが、2007~8年頃は、ワードプレスのライバルにムーバブルタイプというCMSがあった。

もともとはムーバブルタイプの方がCMSの先駆者で、しばらくの間はワードプレスはマイナーなシステムだった。

それがアメリカでは2005年頃、日本でも2006 ~7年頃にシェアが逆転して、その後は差が開く一方で、ワードプレスの独壇場となった。

早くからこのシステムを取り入れたため、
制作コストが極めて低く、
非常に粗利の大きなビジネスを続けることができた。

この頃にお付き合いを始めたクライアントが今でも大勢いるので、私のビジネスの基盤となっている。

しかし、AI革命の進展とともにホームページ制作のあり方が劇的に変わろうとしている。

ちょうど20年前にHTML直打ちからCMSに変化したように、今ホームページ制作の流れがCMSからAIに変化しようとしている。

技術的な詳しい事は省略するが、ネットで「ワードプレス+ ChatGPT」で検索すると様々な情報が出てくる。

ワードプレスを使う人の殆どはPHPと呼ばれるプログラミング言語を使う事はないが、
製作者はいろいろな部分でPHPという言語を使ってワードプレスをカスタマイズする。

この作業は技術や知識やセンスが要求されるものなので、それなりの市場価値がある。

しかし、ネットで検索すればわかるように
「5日かかった仕事が1時間でできた」とか、
「ChatGPTが書いてくれたPHPが上だった」など、びっくりするような書き込みがたくさんある。

まだChatGPTが簡単にホームページを作ってくれるというような時代ではないし、
WordPressそのものがなくなるわけではない。

しかし、ChatGPTを使えば、これまでの何十倍の効率でコードやプログラムがかけるとなれば、その分野の知識や技術を持っている人の生産性は劇的に向上する。

その結果、この分野全体で値崩れや低価格化が発生し、業界の構図は大きく変わることになる。

ホームページ制作は、リモートワークとなじみが良く、海外セミリタイア生活や早期FIREを目指している人にとっては、絶好のビジネスモデルといえる。

ただ単に「きれいなホームページが作れます」というスキルだけでは、
これからは厳しいことになる。

単純なホームページ制作や管理だけを収入源としている場合は早めにビジネスモデルの転換を考えるべきだ。

今のクライアントに対して、コンサルティングやマーケティングのアドバイス、Google広告のサポートやソーシャルメディアのサポートなどを組み合わせた付加価値の高いサービスを提供しなければ、やがてクライアントは他のサービスに流れていくだろう。