アンコールワットで有名なカンボジアのシェムリアップに初めて訪れたのは2017年だった。
シェムリアップ初訪問の印象
空港に降り立った時の第一印象は「汚い」だった。
イメージではなく、空港のロビーは壁も床も本当に汚れていたのだ。
外に出れば駐車場も道路もゴミが散乱しているし、バスでもタクシーでも「この街には洗車場はないに違いない」と思うほど汚れていた。
乾季の真っ盛りで空気が乾燥しているために、赤土のほこり(中国の黄砂のようなもの)がイメージを増幅していた可能性もある。
東南アジアの地方都市ではよくあることで、大体5分以内に慣れてしまうのだが、数日間その街に滞在した後に規模の大きな都市に戻ると「きれいだなぁ」と感じるのがいつものパターンだ。
街のゴミ問題の実態
シェムリアップには4〜5回訪れたので、ある時にじっくりと街の汚れ具合を観察してみた。
道路脇に放置されている「得体の知れない堆積物」をじっくり見ることなどはあまりないので、それはそれで面白い経験だった。
観察してみて分かった事は、ゴミ箱が圧倒的に少ない事だ。
公園や観光スポットには置いてあるのだが、満杯だったり壊れていることも少なくない。
道路脇にゴミが山積みになっており、その中に壊れたゴミ箱がゴミのように置いてあることもある。
ゴミ回収システムの現状
ゴミの回収車を見かけることも少なく、日本のようなゴミ回収のシステムはまだ完備していない。
これは仕方のないことで、人間の住む社会では、まず食べることや治安の安定が優先され、次に住居や道路・物流、学校や病院の順番で整備されていくので、ゴミの回収などは後回しになる。
日本のように「クリーンな街づくり」とか「環境にやさしい都市空間」などは、ずっと後のことなのだ。
基本的にゴミの処理は各家庭や店舗などの自己責任であり、燃えやすい物は小さな焼却「釜」で燃やすし、生ごみや残飯は犬が食べるか自然分解に任せる。
その結果、自然分解されないプラスチックやペットボトルだけが大量に残ることになり、これが「得体の知れない堆積物」の正体だということがわかった。
ゴミ問題への対策と課題
こういったものが街のあちこちに散乱しているし、少し強い風が吹けば細かな赤土に混じってポリ袋が乱れ飛ぶ。
だから海外への移住やロングステイを考える場合は、環境問題やSDGsへのこだわりは捨てなければならないし、潔癖な人や清潔好きの人はあまり向かないかもしれない。
町全体にゴミが多いもう一つの理由は、ゴミ拾いをする人が少ないのかもしれない。
日本人が清潔好きで、東南アジアの人々は清潔でないということではなく暑さの問題だ。
日本人だって最高気温が35度を越すような真夏に、率先してゴミ回収をしようと思わないだろう。
こういった状況だから分別回収の仕組みなどは全くない。
分別回収と都市の発展段階
規模のはるかに大きいバンコクでも、分別回収の考え方はまだ普及していない。
まだコロナの影響で、外国人は2週間の隔離が必要だった2021年に泊まったホテルには屋上ガーデンがあった。
バーやプールもあったが、もちろんコロナの影響で閉鎖されていた。
10日間の隔離が終わった後、PCR検査が陰性になるとこの屋上ガーデンで40分間だけ散歩することが許される。
エレベーターを降りたあたりに、小ぎれいな分別ボックスが3つ置いてあった。
特殊な状況下だったので、ゴミ箱は全て空になっていたが、注意書きをよく見ると「生ごみ」「プラスチック及びペットボトル」「その他」となっていた。
その他のボックスの注意書きをよく読むと、紙類や箱・ビン缶・電池・その他というようなことが書いてあり、これでは分別にならない。
世界都市ランキング30位の、東南アジア有数の大都市でもこの程度なのだから、ゴミの分別収集がどれだけ難しいものかがよくわかる。
