海外セミリタイアの拠点選択において、筆者はタイを中心としながらも、ベトナム、カンボジア、中国など複数の国での生活を経験してきた。 完全FIREは理論的に難しい現実を考えると、セミFIREが理想的であり、そのためには複数の拠点を持つことでリスク分散も図れるだろう。
2018年から2020年にかけて、ベトナムのハノイ・ホーチミン、カンボジアのプノンペン・シェムリアップ、中国の大連・上海での長期滞在を経験した。 それぞれの国には独特の魅力と課題があり、フリーエージェント的な働き方を実現する上でも、環境の違いは大きな影響を与えることが分かった。 東南アジアでのリラックスした生活を求める場合と、ビジネス機会を重視する場合では、最適な選択肢が異なってくる。

東南アジア諸国の実地比較
ベトナムの可能性と課題
ベトナムは急速な経済発展を遂げており、特にホーチミンは東南アジアの中でも最もダイナミックな都市の一つだ。 生活コストはバンコクより20-30%安く、1LDKのサービスアパートが月3-5万円程度で借りられる。 食事も1食200-500円程度と格安だった。
筆者が2019年にホーチミンに3ヶ月滞在した際、最も印象的だったのは若い世代のエネルギーと起業マインドの高さだった。 街中にスタートアップ企業が溢れ、IT関連のビジネス機会も豊富だ。 フリーエージェントとして新しい分野に挑戦したい方には魅力的な環境だろう。
ただし、インフラ面ではまだ発展途上で、停電や断水が頻繁に発生する。 また、交通渋滞は深刻で、バイクの量は東南アジア随一だった。 慣れるまでは道路横断も一苦労で、東南アジアでのリラックスした生活という点では課題があると感じた。
カンボジアの独特な魅力
カンボジアのプノンペンは、東南アジアの中でも特に「フロンティア感」が強い都市だ。 生活コストは極めて安く、月4-8万円あれば十分快適な生活が可能だろう。 不動産価格も安く、外国人でもコンドミニアム購入が可能なため、投資対象としても注目されている。
筆者が2018年にプノンペンに滞在した際、最も驚いたのは米ドルが通常通貨として流通していることだった。 現地通貨のリエルと併用されているが、高額取引は全て米ドルで行われる。 これにより為替リスクが軽減され、長期投資には有利な環境だと言える。
一方で、医療体制や教育水準はまだまだ発展途上だ。 深刻な病気やケガの場合は、タイやシンガポールまで行く必要があるだろう。 また、雨季の洪水や停電も頻繁で、インフラの不安定さは覚悟が必要だった。
東アジア(中国)での経験と教訓
大連での生活体験
2012年に中国の大連で6ヶ月間生活した経験は、東南アジアとは全く異なる文化的衝撃を与えてくれた。 大連は日本企業が多く、日本語が通じる場面も多いため、言語面での不安は少なかった。 生活コストもリーズナブルで、月7-12万円程度で快適な生活が可能だった。
最も印象的だったのは、デジタル決済の普及度だ。 Alipay(支付宝)やWeChat Payがあれば、現金なしで全ての支払いが完了する。 この利便性は日本を上回っており、フリーエージェント的な働き方をする上でも非常に効率的だった。
ただし、インターネット規制(グレートファイアウォール)の存在は想像以上に不便だった。 Google、Facebook、Twitterなどの主要サービスが利用できず、VPN接続も不安定だった。 海外の顧客とのやり取りが多い筆者には、これは致命的な問題だった。
上海でのビジネス環境
上海は中国の経済中心地だけあって、ビジネスチャンスは豊富だった。 国際的な企業も多く、英語でのコミュニケーションも可能だ。 生活環境も洗練されており、世界各国の料理が楽しめる。
しかし、生活コストは予想以上に高く、東京とあまり変わらない水準だった。 特に住居費は月14-25万円程度必要で、セミFIREを目指す身には負担が大きかった。 また、大気汚染も深刻で、健康面での不安を感じることが多かった。

