バンコクでの住居費削減の実践
住居費は海外セミリタイア生活における最大の支出項目であり、これをいかに抑えるかが成功の鍵を握っている。
筆者は2017年からバンコクで民泊経営を手がけながら、様々な住居形態を体験してきた。
完全FIREは理論的に難しい現実を考えると、セミFIREが理想的であり、フリーエージェントとしての働き方と東南アジアでのリラックスした生活を両立するには、住居費を最低生活固定費内に収めることが重要だ。
今でもネットで「タイ+生活費」「バンコク+いくらで暮らせる?」で検索すると、「5万円で楽々と暮らせる」「物価は3分の1」というような情報が出てくることがある。
しかし、これは5年位前の話で、その頃なら1バーツ3.3円程度だったし、物価も今よりは安かったので、これ位でも生活することができた。
現在の実情を踏まえ、実践的な住居費削減戦略を詳しく解説したい。
家賃相場の国際比較と実体験
バンコクの家賃相場の実際
2017年から5年ほど、バンコクでエアビーの民泊ホテルを経営していた。
前半の3年間は驚くほど利益が出たが、2020年からはコロナの直撃を受けて、天国地獄を味わった。 この経験を通じて、バンコクの住居市場を詳しく知ることができた。
現在のバンコクの家賃相場は、スクンビットエリアの1LDKで月25,000-35,000バーツ(10-14万円)程度だ。 これは5年前と比べて20-30%上昇している。
一方、郊外のオンヌット・バンナーエリアでは15,000-25,000バーツ(5-10万円)程度で、まだ手頃な価格帯が残っている。
筆者が実際に住んだトンロー駅近くのコンドミニアムは、45平米の1LDKで月20,000バーツ(約8万円)だった。
プール・ジム付きで24時間有人警備、BTS駅徒歩3分という立地で、東京なら同条件で月24-30万円はかかるだろう。 この価格差が海外セミリタイアの最大のメリットと言える。

エリア別コストパフォーマンス分析
日本人向け不動産会社が扱う物件の賃料は高めだが、格安適正価格を標榜している業者もたくさんある。
例えば地元では有名なフリーペーパーのバンコクライフなどの広告には物件がたくさん出ている。
ここに出ているエリアであれば、日本人が暮らすのに全くストレスなく、外国人としての生活をすることができる。
筆者の経験では、日本人エリア(プロンポン・トンロー界隈)での生活は確かに便利だが、家賃が30-50%高くなる。
フリーエージェントで仕事をしている場合、必ずしも日本人エリアに住む必要はない。
タイ語の簡単な日常会話の基礎を覚え、現地の文化に慣れれば、ローカルエリアでも十分快適に生活できる。
東南アジアは物価が安いが、大都市の中心部では日本以上のコストがかかることもある。
バンコクなどの大都市は日本の50年前の高度経済成長期のように急速に発展しており、物価や家賃の上昇とともに郊外への都市圏の拡大が進んでいる。
この現実を踏まえ、エリア選択は慎重に行う必要があるだろう。

