インフレと資産防衛 日本の現状とこれからの投資戦略
2020年のコロナ緊急事態宣言の真っ只中に出版された加谷珪一氏の「貧乏国ニッポン」は、かなり衝撃的なものだった。
これまで私たちが漠然と感じていた「没落する日本」を様々なデータからわかりやすく解説している良書なので一読をお勧めする。
ここ数年、日本は物価上昇と所得停滞という二重の課題に直面している。
かつて「世界一お金持ちの国」と呼ばれた日本も、今や「物価の安い国」「所得の低い国」と揶揄されることが増えている。
もはや手遅れかもしれないが、日本の没落を素直に受け止めて、真剣に生き残りの道を模索すべき時だと考えるべきだ。
この現状を踏まえ、我々個人がインフレ時代における資産の目減りを防ぎながら、どのように資産を形成していくべきかを考えたい。
貧困化する日本とインフレの影響
日本は「失われた30年」とも呼ばれる長い経済停滞の影響で、国内の物価は他国と比較して低い水準にとどまっている。
一方で、世界的には、コロナ禍から立ち直る過程でインフレが進行し、資産価値は上昇する一方、現金の価値は減少している。
つまり現金だけで資産を保有していると、購買力が低下し、実質的な「資産の目減り」が進んでいるのだ。
日本は巨額の財政赤字という「時限爆弾を抱えた」状況で、なんとか経済を回しながら、それなりに人権やプライバシーを守り、世界最高水準の国民皆保険や医療制度を確保して安心安全な国を維持した事は評価されるべきだろう。
しかし、この「安心安全な国」に私は少なからぬ危機感を持っている。
平成の失われた30年と長期のデフレにより、かつての「Japan as No1=世界一のお金持ちの国」と言われた日本が「貧乏国日本」とまで言われるようになったからだ。
必要以上の安心安全を維持するために人々の所得は低く抑えられ、結果的に日本の物価は極めて安く、世界的に見れば不動産も株式=優良企業も割安に放置されている。
世界中のハゲタカファンドが割安な不動産や株式を虎視眈々と狙っており、諸先輩や我々が築き上げた国富が海外マネーに奪われている。
すでに香港やアメリカの不動産ファンドが割安な物件を買い漁り始めており、株式市場でも様々なファンドが割安に放置された株式を買い集めているのだ。
特に円安局面では、相対的に安価な日本資産が狙われやすく、セブンイレブンや日産のような優良企業が外国資本に買収される事例も増えるだろう。
今の日本の経済構造を考えると、国内資産の低評価が続く限り、こうした状況は長期化する可能性がある。
海外資本の流入と資産防衛
このような状況では、国内の資産をしっかり守り、同時に増やしていく投資戦略が求められる。
海外のファンドにとって「割安」である今の日本市場の様々な資産は、われわれ個人投資家にも投資のチャンスを与えてくれる。
資産を守り抜くためには、インフレに強い資産へ分散投資を行うことが大切だと感じる。


