インフラと利便性の向上
「東南アジアはインフラが未整備」という印象を持つ人も多いが、これは過去の話だ。
主要都市のインフラは急速に改善されており、日本と遜色ないレベルに達している分野も多い。
交通インフラの発達は目覚ましく、バンコクのBTS・MRT、クアラルンプールのLRT・MRT、シンガポールのMRTなど、公共交通機関は清潔で効率的だ。
渋滞が激しい都市でも、電車を使えば時間通りの移動が可能だ。
インターネット環境も充実しており、4G・5G通信も日本以上に普及している国も多い。
リモートワークに必要な通信環境は十分に確保できる。
都市部なら停電は稀で、あっても短時間で復旧する。
多くのコンドミニアムには自家発電設備もあり、オフィスビル並みの安定性を確保している。
水道は飲用には浄水器やミネラルウォーターを使用するが、これは日本でも同様だろう。シャワーや洗濯には十分な水質と水圧が確保されている。
ATMは24時間利用可能で、多くの場所に設置されている。
モバイルバンキングも普及しており、送金や支払いが簡単にでき、キャッシュレス決済も日本以上に進んでいる国もある。
文化的親和性の重要性
東南アジアを選ぶ際に見落とされがちだが、実は最も重要なのが文化的親和性だ。
いくら物価が安くても、文化的に受け入れられない環境では長期間の滞在は困難だ。
まず宗教面での寛容性がある。
東南アジアの多くの国は多宗教社会で、異なる信仰に対して寛容だ。
日本人の多くが持つ「特定の宗教に属さない」という立場も自然に受け入れられる。

東南アジア料理は米を主食とし、魚介類や野菜を多用する点で日本料理と共通点が多い。
香辛料の使用は異なるが、日本人の口に合う料理が豊富にある。
また、日本食レストランも多く、恋しくなった時には本格的な日本料理も楽しめる。
東南アジアの人々は一般的に親切で、外国人に対してもフレンドリーだ。
「面子」を重視する文化は東アジア共通で、相手の立場を尊重するコミュニケーションスタイルは日本人にとって理解しやすい。
日本人は高温多湿の環境に慣れているため、東南アジアの気候は比較的適応しやすし、買い物や生活習慣の面でも親和性が高い。
市場や屋台文化は日本の商店街文化と通じるものがあり、値段交渉も慣れれば楽しいコミュニケーションの一つになる。
衛生観念はやや低いが、主要都市では日本人が受け入れられるレベルに達している。
手洗い、うがい、マスクの着用なども一般的で、特に2020年以降は衛生意識が大幅に向上している。
医療・教育環境の充実
セミリタイア生活において、医療環境の質は極めて重要だ。
40代以降は健康リスクが高まるため、安心して治療を受けられる環境が必要だ。
東南アジアの私立病院は、国際水準の医療サービスを提供している。
バンコクのバムルンラード病院、シンガポール総合病院、クアラルンプールのプリンス・コート医療センターなどは、欧米の病院と同等の設備と技術を有している。
特に注目すべきは予防医学の分野だ。アンチエイジング治療、美容医療、代替医療なども充実しており、日本では高額なサービスも手頃な価格で受けられる。健康寿命の延伸を考える上で、これは大きなメリットだ。
薬事制度も柔軟で、日本では処方箋が必要な薬も、薬局で直接購入できる場合が多い。
ただし、自己責任での使用が前提となるため、基本的な健康に関する常識は必要だ。
英語学習環境は日本より優れており、ネイティブスピーカーとの会話機会も多い。
ビザ制度の現実的対応
東南アジア諸国のビザ制度は、長期滞在者にとって比較的柔軟だが、各国の制度を正しく理解し、適切に対応することが必要だ。
タイの場合、観光ビザで60日間、延長して90日間の滞在が可能だ。
ツーリストビザを繰り返し取得することで、年間の半分程度の滞在は十分可能だ。
より長期間の滞在を希望する場合は、エリートビザ(4-20年間有効)という選択肢もある。
マレーシアのMM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)プログラムは、10年間の長期滞在を可能にする制度だ。ただし、2021年に条件が厳格化されており、初期費用が3000万円以上で毎月の収入が150万円以上と、かなりの富裕層でなければ無理な水準だ。
フィリピンのSRRV(特別居住退職者ビザ)は、35歳以上で取得可能な永住権に近いビザだ。
比較的取得しやすく、長期滞在を考える場合の有力な選択肢だ。
どの国でも注意が必要なのは「ビザラン」だ。
短期間の出入国を繰り返すビザランは、当局に目をつけられるリスクがある。
正規のビザを取得し、合法的に滞在することが長期的には安全だ。
ビザ制度は頻繁に変更されるため、常に最新情報をチェックすることが重要だ。

