誰でもそうだが、人間には「自分に都合の良い理屈だけを信じたがる」傾向がある。
自分に都合の良い理屈
「そうだそうだ、その通りだ」
「自分はいつもそう考えている」
と信じた方がメンタル的に気持ちが良いし、フットワークも軽くなる。
感覚的に自分と違う考えを信じようとすれば、脳が混乱を起こすし、様々な行動にブレーキがかかりやすい。
これは人間の進化の過程で、常に素早い行動が取れるように設計されていたためだと思う。
弱肉強食の世界では「考えていれば喰われてしまう」というのが絶対的なルールなので、自分の直感や本能と異なる事象は「考えることなしに拒絶する」ように脳の回路ができているのだろう。
ソーシャルメディアでフォローするのも、自分の考えに合った人たちだし、自分と反対の意見ばかり述べている人は、ブロックしたりミュートすることが多い。
こういった状況の中では自分の意見が肯定されることが多いし、それが自分のモチベーションを高め、さらに強い肯定感を得ようと、どんどんと「偏った考え方」に傾いていく。
4%ルールの現実
例えば、FIREとかアーリーリタイアを目指している人たちの中には4%ルールを信じている人が多い。
私はこのルールは現実性乏しいと考えているが、こういった意見を聞けば「気分が悪い」と感じる人も多いだろう。
しかし、FIREとかリタイアを実現するための計画は、安全の上にも安全を目指さなければならない。
会社勤めで有害な人間関係やパワハラで神経をすり減らしている場合、「一刻も早くこの状況から逃れたい」という気持ちが強く、そこから解放してくれる何かのルールや理論にすがりつきたいという気持ちになるのも無理はない。
しかし、4%ルールのように「株価は右肩上がりで、インフレが起きない」という特殊な状況を前提としたルールを信じて、コツコツと10年、20年も節約と貯蓄に励み、「やっとFIREだ」と思った瞬間に、株価の暴落やインフレに見舞われて計画が破綻したのでは、「これまでの人生は何だったんだろう」ということになる。
常に柔軟に生活様式を変更
私は早い段階にセミリタイア宣言をし、それまでの過酷なフルタイム労働を卒業した。
その生活を10年以上続けているが、今のビジネスモデルやライフプランが未来永劫安泰だとは思っていない。
どんな状況が起こるにせよ、常に柔軟に生活様式を変更できるように、常に対策を考えている。
4%ルールはともかくとして、とにかくインフレや円安、突然の経済危機などを想定すれば、金融資産の取り崩しに頼ったライフプランは全く意味がない。
運用益は資産の減価償却費
インフラの時代には、「運用益は資産の減価償却費」という考え方が必要だ。
年率5%のインフレの状況で、1年間に5%の運用益があったとしても、資産価値は全く増えていない。
その運用益を生活費として使ったのでは資産が減少することになる。
金融資産をセーフティーネットと考え、日々の生活費は「働いて稼ぐ」というのが原則だ。
そのためには生涯現役でなければならないし、早い段階からそれが出来るようなビジネスモデルを確立しなければならない。
生涯現役という戦略の重要性
だからFIREとかセミリタイアに関心を持った瞬間から、お金を貯めるとか資産を運用するという考え方よりも、先に、「どうやったら生涯現役を続けられるか」ということを考えるべきだ。
新しいスキルを身に付けるとか学び直しに挑戦するより、4%ルールのような「聞き心地の良い理論」を信じる方が精神的に楽なのだが、コロナを境にして、世の中が大きく変わったことを認識し、インフレや円安を前提した強靭なライフプランを立てなければならない。
