インフレ時代に備える日本資産防衛術

インフレが進む日本での資産防衛戦略

今や日本は「低賃金・低物価」の国として位置づけられ、経済的には他のアジア諸国に追い抜かれる存在となった。
現在のインフレ状況が続けば日本円の価値が徐々に目減りし、私たちの生活が一層厳しくなる可能性がある。この現状をどう捉え、どのように資産を守っていくべきかを考えてみたい。

なぜ今「貧しい日本」なのか?

かつての日本は世界でも一流の経済大国とされ、物価水準も世界トップクラスだった。
しかし平成時代のデフレと経済成長の停滞を経て、現在ではOECD諸国の中でも賃金が低く、物価も抑えられている。

実際、近年ではアジアの隣国から「安価でインフラが整った国」として見られるようになっている。
特に香港や韓国などの中間層が、日本での安価な生活費や充実した医療サービスに目を向け、日本での年金生活を真剣に検討するケースも増えてきた。

インフレで現金の価値が下がるリスク

2024年現在、日本もインフレの波を避けられない状況にある。
物価の上昇が続く中、現金で資産を保有しているだけでは、価値が目減りするリスクが高まっている。

これに備えるためには、現金だけでなく、不動産や株式、外貨建て資産といった「実物資産」やインフレ耐性のある資産への分散投資が重要になる。

日本は東アジアの年金生活者の聖地になるのか?

何年か前に、経団連の会長が「賃金がOECD諸国の中で下位であり遺憾」と発言して、ネット上では「お前が言うな!!」と批判が殺到した。

経団連は賃金を低く抑えてきた張本人であり、ネット民の批判ももっともだ。

しかしもっと深刻な事は、1人当たりGDPが香港やシンガポールだけではなく、お隣の韓国・台湾にも抜かれてしまい、「アジアの中でも物価も賃金も安い国」と位置づけられていることだ。

日本の社会が安全でインフラの整備も進んでいる事は誰でもよく知られており、それでいて賃金や物価が安いのならば、アジア諸国の年金生活者が日本で暮らすケースも増えてきても不思議ではない。

香港や台湾、さらに大陸中国でも猛スピードで高齢化が進んでおり、豊かな中間層が医療や介護福祉の充実した日本での生活を真剣に検討し始めたとしても不思議ではない。

世界に冠たる国民皆保険

これらの分野のインフラ整備には長い時間がかかり、日本はコツコツと世界に冠たる国民皆保険医療インフラを築き上げてきた。

私はアジア各地の介護施設や病院を見学して来たが、富裕層向け施設は日本と同等かそれ以上の水準に達しているものの、「豊かな中間層に対応する病院や施設」が絶対的に不足している。

富裕層ではなく、アジア諸国の中間層が日本での年金生活を考えていると聞いて驚く人もいると思うが、かつて日本でもシルバーコロンビア計画という国策プロジェクトがあり、私もはっきりと覚えている。

1986年に通産省(現・経産省)が提唱したもので、正式名称は「シルバーコロンビア計画92-豊かな第二の人生を海外で過ごすための海外居住支援事業」で、実現目標年次を1992年としていた。
~ウィキペディアより引用~

いまとなっては、シンガポールや香港、韓国などの高齢者は「時差もなく、社会インフラの整った安心安全で福祉や医療が充実した『格安日本』への移住」を真剣に考えたとしても不思議ではない。

そうなれば、限られた医療福祉インフラや人材の取り合いとなり、「貧しい日本人は切り捨て対象」という、直視したくない不都合な未来がやってくるかもしれないのだ。