■不労所得神話の否定
FIREを目指す人の多くが、「お金を貯めて配当で暮らす」というイメージを抱いていると思う。
しかし私はこのブログで書いているように、金融資産からの配当や運用益だけで働かずに生活することは理論的に不可能だと思っている。
インフレの不確実性や運用成績の不安定性を考え合わせると、「働かずに不労所得で暮らす」ということは絶対に不可能だ。
数字の上で生活が成り立ったとしても、毎日が不安で仕方がないような、何のためにFIREをしたのかわからない人生が待っているだろう。
■資産運用の現実
しかし、だからといって金融資産が必要ないと言っているわけではない。
私自身もナスダックの情報革命関連銘柄への長期継続投資を行い、不動産投資も行っている。
しかし、それらから得られる収益は限られており、その収益を生活消費支出に回すことはできない。
なぜなら、株式などの金融資産から得られる配当や利回りのうち、少なくとも半分以上は「インフレによる減価償却費」のようなものだからだ。
例えば1000万円の金融資産から7%の運用利回りが得られたとして、インフレ率が4%であれば、実質の収入は3%でしかない。
得られた収益のうちのインフレ分は元本に組み入れていかなければ元本がどんどん減っていく。
また不動産収入も、新築の物件なら良いが、経年劣化が進むにつれて修繕費や老朽化対策などの費用がかさむため、家賃がそのまま生活費になることはない。
■人的資本の重要性
そう考えると、資産形成とは金融資産を増やすというよりも、金融資産と人的資本(自分の稼ぐ力)を高めることにある。

この場合、金融資産は生活費を稼ぐための資本ではなく、セーフティネットとしての役割を果たす。
いくら人的資本を高めても、想定外の事態や病気によって人的資本が減少することは避けられない。
そういった時に、一定期間の保険や休業補償のような形でセーフティネットが必要になる。
■持続可能なFIRE戦略
セーフティネットは厚ければ厚いほど良いが、それを確実にするために、必死になってお金を増やそうとするのは間違いだ。
40代や50代でストレスをためるほど節約をしたり、睡眠時間を削って副業に打ち込むような生活をしてしまうと、必ず後で副作用が生じる。
そうではなく、自分の人的資本を強化(できるだけ長く働ける力を維持する)することに重点を置き、それに合わせて「最低限のセーフティネットがあれば良い」といった気持ちで、ゆっくりと、長期的かつ中断することなく成長株への長期継続投資を続けることが、最も合理的なFIRE戦略だと考える。

