バンコクの地下鉄や都市交通システムの延伸・拡大が急激に進んでいる。
私が初めてこの街を訪れた2014年には、地下鉄(MRT)が1路線と高架鉄道(BTS)が2路線あっただけだった。
それが10年足らずで急速に拡大し、2023年7月にはモノレールの新路線イエローラインも開通した。
2024年中にはピンクラインと呼ばれる主要路線も開通予定となっており、本格的な交通網が完備しているように見える。
それに伴い郊外に向かって住宅地も拡大しており、不動産価格もじわじわと上昇している。
バンコクの急速な都市交通の発展
感覚的には1970年代の日本と同じで、鉄道網の延伸に沿って住宅地が拡大し、その土地を買えば黙っていても資産価格が値上がりしていく。
先輩のマイホームの価格上昇を見た後輩のサラリーマンたちも、右にならえで2つ3つ先の駅周辺の戸建てやコンドミニアムを買うという循環だ。

BTSモチット駅近くのコンドミニアム
2回目にバンコク訪れた時、タイとミャンマーの国境地帯を巡るバスツアーに参加したことがある。
その時のバスガイドさんは日本語のうまい気さくな人で、自分がいかに不動産購入で儲かっているかを得意げに話していた。
「まずローンを組んで家賃が入る不動産を買います」、「その家賃でローンの利息だけを払います」、「何年か経って、他に良い物件が出たらもう一つローンを組んで、また家賃で利息を払います」、「その頃になると最初に買った家が値上がりしているので、それを売ると儲かります」というような話を延々と説明してくれた。
本当に嬉しそうで、まさにバブルそのものの笑顔だった。
バブルの兆候と資本主義の大原則
その行き着く先は「どこかでバブルは崩壊する」という資本主義の大原則だ。
それがいつになるのかわからないが、私は必ずそういう時期がやってくると思う。
コロナの後に、中国の不動産大手が次々と経営破綻した例を見てもわかるように、不動産バブルはババ抜きゲームだ。
永久に値上がりが続くことはなく、どこかでバブルは崩壊する。
ババを引くのは「最後にローンを組んで高値で購入した人たち」と決まっている。
誰でもババを引きたくはないから、右肩上がりの不動産価格の上昇の中で、慎重な人たちや気が小さい人たちは「どこかで値下がりするから無理をしてはダメ」と慎重になる。
しかし、そう思っている間にも不動産は値上がりを続け、慎重だった人たちの中から「また上がりそうだから、やっぱり買ったほうがイイかもしれない」と思う人たちが出始め、そういった人たちの大部分が「これ以上我慢していたら高くなりすぎて買えない」と思って、購入に踏み切った瞬間がバブルの頂点なのだ。
不動産バブルの行く末
これは世界中で何回となく繰り返されてきたことであり、バンコクも例外ではない。
しかし80年代の日本のバブルもそうだったが、値上がりを続けていくときには「東京は世界中でも別格の都市」とか、「日本経済の底力の秘密」などの値上がりを正当化する理屈が流れだし、あとで考えてみれば「なんでそんなものを信じたのだろう」と思うような荒唐無稽な理屈でも、その渦中では殆どの人が信じてしまうのだ。
詳しい説明を省くが、日本のバブルの時には「Qレシオ」という指標が流布して、壮大な株価バブルを演出した。
今のバンコクでは、「タイの経済は先進国型に転換した」「アセアンの経済覇者はタイ」など、都合の良い理論が流れ始めている。
それが正しいのか間違っているのかは誰もわからないが、「買えば上がる、上がるから買う」という状況は間違いなくバブルであり、それがバブルである限りはどこかで必ず破裂する。
よく言われるように「バブルは破裂するまでバブルとはわからない」という状態なのだ。
